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赤い雪(第四話)
雪の舞う中、女の子が歩いていた。
スキップを踏むように軽やかに。

それをボクは追いかけた。
でも、どんなに一生懸命走っても追いつけない。

ボクは彼女を呼び止めようとした。


「グァァ・・・」


・・・ボクのクチから漏れたのはのは獣特有の唸り声だった。

ボクは必死に走った。
追いついてどうしたいのかわからないまま、ただ必死に走り続けた。

だが、彼女の姿はどんどん、どんどんと遠くなり。


そして・・・赤く弾けて消えた。

 :
 :

「うわっ!?」


・・・短い悲鳴を上げ、ボクは毛布を跳ね飛ばした。
少し横になるつもりがいつの間にか眠ってしまったらしい。


「フィオ~、ご飯できたよ~」

エレナの呼ぶ声にボクはすぐ返事が出来なかった。
人の言葉が話せるか、自信がなかったから・・・。


「ぁ・・・ぁ・・・ぅ・・・」


小声で話してみる。


「ありがとう・・・」

・・・大丈夫、唸り声ではない。
人の言葉が話せてる。



「・・・ありがとう、今行くよ」

そう答えて、ボクは部屋を出た。
台所がいつもより遠く感じた。

 :

食事の用意はもうすっかり出来上がっていた。

フィオ「ごめん、寝ちゃってたみたい」

エレナ「ううん、いいよぉ。疲れただろうしね」

ボクはもう一度お礼を言ってエレナの向かいの席へと座る。
テーブルにはちょっと硬めのパン、焼きたての卵焼きと、エレナの得意料理のジャガイモのスープが湯気を立てている。

今日はいろいろなことが起こりすぎた。
だからこそ、いつもと同じ料理が嬉しかった。


「「今日も無事に一日を過ごせたことを喜び、食事を食べれることを感謝します・・・」」


習慣である神様への祈りを捧げた後、ボクらは食事を始めた。
ジャガイモのスープを一口飲むと、体中が暖かさに包まれるように感じた。


フィオ「おいしい」


素直にそうつぶやく。
エレナが嬉しそうに微笑んでいた。

その笑顔に誘導されたのか、ボクは彼女に尋ねていた。


フィオ「ねぇ、エレナ」

エレナ「なぁに?」

フィオ「エレナは・・・神様って信じてる?」


そう、これはさっきハントさんと山狩りに行った時にふと思いついた疑問。
普段なら教会に住んでいるボクらが聞いてはいけないこと。

でも、今日はなぜか聞かずにいられなかった。


「うん、信じてるよ」


すぐにそう答えが返ってくるとボクは思っていた。

でも、彼女の反応は違っていた。



エレナ「うーん…フィオはどうなの?」

フィオ「ボク?」

エレナ「うん、フィオは神様って信じてる?」

フィオ「う・・・うん・・・」


ボクの曖昧な返事を肯定と受け取った彼女は笑顔で続けた。


エレナ「だったら信じるよ」

フィオ「・・・え?」

エレナ「フィオが信じるなら、あたしも信じる。うん!」


予想とは違う答え。
・・・でも、わかる気がした。

彼女もボクも・・・捨て子だったから。
親に無慈悲に捨てられたのだから。

 :

食事を食べ終わると今日一日の疲れが濁流のように一気に押し寄せてきて、ボクらは凄い眠気に襲われた。


エレナ「今日は早めに寝よっか?フィオも疲れてるでしょ?」

フィオ「うん、そうだね。・・・エレナ、部屋の前まで送るよ」

エレナ「ありがとう、ちゃんと守ってくれてるんだね」

フィオ「・・・」


食事の後片付けは明日へとまわし、エレナの部屋の前までやってくる。


エレナ「じゃ、おやすみなさい」

フィオ「・・・待って」


扉を閉めようとしたエレナにボクは声をかけた。


エレナ「どうしたのかな?」

フィオ「約束・・・して欲しいんだ」

エレナ「なぁに?」

フィオ「カギを・・・窓とドアのカギを忘れずにかけて欲しい」

エレナ「うん、わかってる。だって今日は・・・いろいろあったもんね」


違う・・・。

エレナが思ってる理由と、ボクが思ってる理由は全然違うんだ。


フィオ「エレナ・・・」

エレナ「うん?」

フィオ「ボク、今日は凄く疲れてて・・・。だからすぐに自分の部屋に戻って休もうと思ってるんだ」

エレナ「うん、それがいいよ」

フィオ「きっと朝まで、ボクは絶対に目を覚まさないと思う。うん、約束できるよ」

エレナ「あはは、なぁに?変な約束」

フィオ「ごめん、変だけど聞いて欲しい。ボクは朝まで起きないって約束する。だから・・・エレナもこのドアを朝まで開けないって約束して欲しいんだ」

エレナ「・・・え?」

フィオ「もし・・・もしだよ?夜中にこのドアを叩く人がいたら、それは絶対にボクじゃない。うん、絶対だ。だから・・・何が起きても誰が来ても・・・ボクが来ても、絶対にこのドアは開けないで」

エレナ「・・・」


彼女は不思議そうな顔でボクを見つめる。
その視線をボクは真剣な表情で受け止めた。


エレナ「・・・うん、よくわかんないけど、フィオがそう言うならそうするね。でもいいの?フィオ、夜中に一人でトイレに行けなくなっても、一緒に行ってあげれないよぉ~?」

フィオ「大丈夫、そのときは走っていくから」


「「アハハ」」


冗談を交わした後、ボクは最後に念を押した。


フィオ「エレナ・・・約束だよ」

エレナ「うん・・・、わかった」

フィオ「ありがとう」

エレナ「じゃあまた明日ね」

フィオ「おやすみ」

エレナが扉にカギをかける音を確認して、ボクは自分の部屋へと戻る。

そしてボクもカギをかけた。

もちろん、侵入者に備えるためではない。


ボクはギュッとつかみカギに祈る。

願わくば・・・。

ボクじゃないボクがこのカギを開けようとしたとき、

その音でもいい、

感触でもいい。



・・・ボクの目を覚ましてくれますように。























 :
 :
 :



ドンドンドン!







ドンドンドンドン!!








扉を叩く音でボクは目を覚ました。

ん・・・

どのくらい寝てたのだろう?

部屋の中は暗く、何も見えない。

ボクはベッドから起きあがり、手探りでドアへと向かった。


フィオ「誰?」

エレナ「開けて、フィオ、開けてっ!」

エレナだ。
ボクは急いで鍵を開ける。
エレナは転がるような勢いで部屋になだれ込み、ボクに抱きついた。


フィオ「どうしたの!?」

エレナ「こわい・・・こわいよぉ・・・」


エレナは抱きついたままひたすら同じ言葉を繰り返して泣いている。

ボクはわけもわからないまま、彼女を抱きしめていた。


ドンドン・・・ドンドン。

今度は玄関の戸を叩く音が聞こえた。


「おい、フィオ、エレナ!いるか?いたらここを開けろ」

フィオ「・・・ハントさん?」

ハント「ああ、大変なことが起きた。ここを開けてくれ」

フィオ「うん、わかった。今行くよ」


エレナをボクの部屋に残し、玄関へと向かう。


フィオ「ちょっと待ってて、今開けるから」


鍵を外し、ドアを開けた。
積もった雪が月明かりで輝き、うっすらとした光りが教会の中に差し込んでくる。

・・・雪は、もうやんでいた。

外にはハントさんと数人の村人がいる。
みんなそれぞれ・・・、武器になるものを持っていた。


ハント「フィオ・・・」

フィオ「どうしたの?ハントさん」




ハント「・・・アキが、殺された」




「・・・!?」




フィオ「・・・アキ姉が・・・殺された!?どうして!?誰に!?」

村人「何を言ってやがる!」

村人「しらばっくれるな!」


村人たちが騒ぎ始めるのをハントさんは抑えるように合図をし、そして静かに、はっきりとした口調で語り始めた。


ハント「アキの悲鳴を聞いたやつがいて、俺たちは駆けつけたんだ。着いた時アキはもう・・・食われたあとだった」


・・・食われた?

・・・まさか


ハント「アキの家の周りには、犯人のものらしい足跡が残っていたんだ。それを追いかけてきたら、ここに着いた」


・・・まさか

・・・まさか!?


ハント「お前らが危ない。ほんとにそう思ったんだ。お前らを守るつもりで、俺たちはやってきた」

フィオ「・・・」

ハント「しかしな・・・事情が変わったよ」

フィオ「・・・」




ハント「フィオ・・・お前がやったんだな」



フィオ「・・・え?」

ハント「お前は俺たちを裏切った!フィオ!」

フィオ「違う!ボクは何もしていない!」

ハント「じゃあ・・・その服についてるものを説明しろよ!」

フィオ「・・・!?」

ハント「頼むからしてくれ・・・フィオォ!」





外から差し込む幻想的な光が部屋を照らし、そして浮かび上がらせていた。





ボクの服に付いた、真っ赤な染みを。

(最終話に続く)


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【 2008/09/20 13:05 】

人狼 | コメント(2) | トラックバック(0) |
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コメント
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ふぃぃぃぃぃおぉぉぉぉぉ!!(´;ω;`)
どうなるの?どうなっちゃうの!?

とりあえず…
落ち着け自分w
おちゃ * URL [編集] 【 2008/09/20 19:57 】
--- ---

◆おちゃさん
コメントありがとうでっす♪
ほんと、おちゃさんを始めとして応援していただけた皆さんのおかげで、ここまでこれましたですよ~^^
最後、どうしましょうかに?
どうなるといいですか?w

ぜひぜひ、もうしばらくお待ちください^^
ぱみみ * URL [編集] 【 2008/09/23 02:27 】
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