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赤い雪(第ニ話)
木々は葉を落とし、冷たい風が枝の間を自由に遊ぶ。
すっかり冬支度を終えてしまった山の中にボクはいた。



隣りでは中年の男が銃を構えている・・・。



と言ってもボクに向かって構えているわけではない。
むしろ撃つべき相手を探している。

長老を噛み殺した獣がまだ近くにいるかもしれない、そのためボクと村で唯一の狩人のハントさんが山狩りに来ていたんだ。


あたりを慎重に見渡し、時折木の陰や足跡を確認するハントさん。
その姿を横目に見ながら、ボクはブラブラと歩いていた。


 何を探しているの?
 ”ボク”はここにいるよ・・・。


瞬間、ハントさんが急にこっちを振り向いた。
あまりの真剣な顔つきにボクは心を見透かされたようでドキッとした。


ハント「フィオ」

フィオ「なぁに、ハントさん?」

ハント「気を落とすなよ・・・」

フィオ「うん・・・」


遠くで鐘の音が聞こえる。
彼女・・・エレナが村の教会の鐘を鳴らしているんだろう。



ボクとエレナはずっと教会に住んでいた。


長老に拾われた、あの日からずっと。


ハント「いくら血は繋がっていないと言え、長老はお前らにとって父親みたいな存在だったからな・・・」

フィオ「・・・でも、一番悲しんでるのはきっとアキ姉だよ」

ハント「そうだな、ずっと泣いてやがったもんな」


アキ姉は長老の身の回りの世話をしていた女の子だ。
そう、今回の事件の第一発見者でもある。

18年前、アキ姉は教会の前におきざられた赤ん坊だった。
それを長老は見つけて育ててくれた。

その4年後の冬、彼女、エレナが教会の前に捨てられていた。
そして春、ボクの番だった。


「ちっぽけな田舎の村にこんな立派な教会を建てるから、みんな目印にして子供を捨てやがるんだ」

と誰かが長老にぼやいたという。
でも長老は笑って答えた。

長老「そのお陰でこの子たちはどこか山奥に捨てられずに済んだんだ。いいことじゃないか」

・・・と。


ハント「長老ほど信心深いヤツはいなかったな・・・。今ごろ天国とやらに召されてるといいんだが」

フィオ「どうだろうね・・・」


長老は神の存在を心から信じていた。
そしてボクらに神様の教えをよく聞かせてくれた。

アキ姉はその話が好きだったらしく、熱心に聴いていた。
時折涙を流しながら。

エレナは・・・どうだったんだろう?
微笑みながら聞いていたから嫌いじゃなかったんだと思う。


・・・ボク?

ボクはある時期から、神の存在なんて信じなくなった。

そう・・・ボクが「普通じゃない」って気づいたときから。



神様がいるなら、どうしてボクをみんなと違うものにしたの?
どうして彼女と・・・エレナと同じ人間にしてくれなかった?


・・・こんなことなら。

・・・こんなに苦しい思いをしなきゃいけないなら、ボクは山に捨てられたかった。


彼女の笑顔なんて知らないまま・・・ボクは山に一人でいたかった。



ハント「・・・ィオ」

フィオ「・・・」

ハント「おい、どうした?フィオ!」

フィオ「あ、ごめん・・・」

ハント「長老が死んで、元気がなくなるのもわかる。でも、お前は男だろ?お前がそんな顔してたらアキもエレナも沈んじまう。元気出せ」

フィオ「うん・・・」

ハント「よし、そろそろ帰るか。冷えると思ったら雪まで降ってきやがった」


空からゆっくりと落ちてくる雪が地面を濡らした。

雪・・・白い雪。


もしもこの中にたった一つだけ、赤い雪が混じっていたとしたら・・・。

その雪はどんな気持ちで落ちてくるだろう?






ボクにはその赤い雪の気持ちがわかる気がした。


第三話につづく)
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【 2008/09/05 21:14 】

人狼 | コメント(4) | トラックバック(0) |
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コメント
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もう一つのブログの方から流れてきました。
あちらのブログの方もいつも楽しみにさせてもらっているんですが、
いつもとは違うこちらのブログも大好きです。
あちらはお祭りみたいに明るくて、こっちはすごく静かな感じ。
ほんと色々な文章が書けるんですね、すごいです!

続き、期待してます、がんばってください!
通りすがり * URL [編集] 【 2008/09/07 11:16 】
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第2話、まってました!
白い雪のなかにただ一片の赤い雪・・・これからの惨劇を暗示してるようで、なかなかに怖くなりますね。
第3話も楽しみにしています。
ヾ(゜ー゜ゞ)( 尸ー゜)尸
izumi * URL [編集] 【 2008/09/07 19:55 】
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◆通りすがりさん
コメントありがとうございます~。
このブログにとっておよそ9ヶ月ぶりのコメントでしたw。
しかも妙に褒めていただいて恐縮ですのわ><
正直期待していただいてるような立派なものが完成すると思えませんが、せめて読んでくれた方に楽しかったと思ってもらえるものが出来ればと思っています。
がんばりますので、ぜひぜひ応援してください^^
ありがとうございました!
ぱみみ * URL [編集] 【 2008/09/08 13:03 】
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◆izumiさん
待っててくれてありがとうです><
てか、ほんとお待たせしました^^;。
赤い雪、イズミさんのコメントで褒めていただけたので、そのまま題名にしちゃいましたw
ありがとうございます~。
終わりまで楽しんでもらえるよう頑張りますので、ぜひぜひまた遊びに来てください♪
ぱみみ * URL [編集] 【 2008/09/08 13:06 】
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